キャンベルリバーとの交流
暫く振りに手稲の弓具店を尋ねると父が弽製作指導中、何が気に入らないのか100㎝の竹尺を右手に持ち怒っている最中です。2階にいる母に父は何が原因で怒っているのでしょうと聞くと「最近御機嫌斜めの日が多く怒る事が多いのよ。」と言った。私が「分かった特効薬で直すから」と言い一階に降り、父に「その内釣りに行くので声を掛けるからパスポートを用意して於いて下さい。旅費は各自持ちですよ」職人気質の父は気難しい。
ジム.マレー氏が来訪した。キャンベルリバー市長から再選お祝いの祝電が来ましたと伝えると「知っています、オメデトウ町づくりの話をしたいので来て下さいと伝言を頼まれています」と言った。訪問する事になった。父に連絡すると「パスポートも用意出来た何時でも良い」
キャンベルリバー市は人口3万人、主産業は水産.林業.議会議員総数5名.その中から互選で市長を出し任期2年で再任有りです。町中も各家も随所に花が植えられ家庭の窓にはプランターが置かれ英国風の綺麗な花の街です。市が委託した業者が無料で給水を行っています。市の職員は30人。住民が殆どの事は自主的に自分達で進めます。
一期目の訪問の時市長宅に宿泊しました。朝、目が覚めると台所でトントン包丁の音が聞こえるのでそっと覗くと市長が野菜を調理しています。聞くと週半分ずつの責任分担話し合いで決めます。今朝はオストラさんの当番日です。(これは暫く家内に言わない事にしよう)
毎日交代で朝食用意してくれました。夜は市民が集まり連日市の施設でシャンペン.市で作った葡萄酒.参加者各人が手造りのチーズのサンドイッチ.ハム.ソーセージ野菜を持ち寄り即席パーティーです。
夏の日暮れは夜10時になります。対岸の島から参加される市民も多く0時過ぎに終了です。全て参加する市民が自発的に自宅で用意して持ち寄り皆で好きな食事を好きなだけ食べます。
3人以上集まると会場だけ決め自由に食事を持ち寄り直ぐパーティーです。滞在中0時過ぎ迄盛り上がりました。歴史を大切に、開拓時代を大事にしています。トーテンポールも大事にしています。市長に一本石狩に欲しいと話すと即座にOKと快諾されました。滞在中商業施設や木材工場を視察しましたが何より気候が温暖でカナダ杉を始め樹木は石狩の倍の大きさに真っ直ぐ生育しています。この杉で石狩の大工さんが住宅を作ったら丈夫で温かい住宅が出来ると確信し町長1期目1983年に姉妹都市提携しました。
2期目ジムマレー氏来町時にキャンベルリバー訪問を決め市長に伝えました。手稲の父親は中標津か道内の釣りと考えていたようですが念の為パスポートは用意済みでした。マレー氏と市で合流すると翌日サケ釣りに出ました。朝6時からの開始.ニシン.イワシの生餌使用.釣り糸はナイロン太さ4号以下とルールが決まっています。その日は波も穏やかで市長宅に10時過ぎに長身のマレーさんが来ました。
オストラ市長さんは身長198㎝.奥様は189㎝ 二人に見送られ遅い出港ですマレーさんは迷わず「エプリルポイント」に向かうよう船長に指示しました。父末吉と私に釣り方を教えます。
最小限のスピードでトローリングです穂先が動いたらサケが近づいたのでニシンが逃げます。竿を上げないで待ちます遅い場合は50秒~1分程待ちます。サケが餌を完全に飲み込んだら大合わせで竿を立てます。マレーさんはサポートに徹して親切に父と私に釣り方を教えます。父が頷いてニシンを付けます針の一本は尾の後ろもう一本は腹ビレに付けました。小柄の父が釣り座にすわると椅子を目いっぱい前にしても椅子に合いません。マレーさんがビニールシートを見つけて背中に挟み調節しOKといいました。
私は横に座りました。5分ほど待つと父が来ている。竿を先が揺れているマレーさんがすかさず「ウエイト.ウエイト」と焦る父を制します。私も「マッテ.マッテ」と止めます。20秒程すると突然竿がガクンと根元から曲がり父親が身体ごと海に飛び込むような恰好になりました。咄嗟にマレーさんが父の後ろから肩越しに竿を押え込む形になりました。「竿を立てて」と私が叫びマレーさんがリールを少し緩めました。糸が出始めます。無理に止めると切れます。覚悟した時に糸の出が止まりました。竿を立てた事と無理をし無かった事で魚の動きが鈍ったのです。父が巻き始めました魚がボートに向かっているのです。再び強烈に向きを変え逃げ始めました。10分経つと余裕の出たマレーさんが「シャーク?サーモン?フイッシュ?」と笑いながら父のやり取りを傍で観ています。私はサメか大きなタラかも知れないタラなら走らないだろうから石狩でサメの釣った時も深く潜るから何か解らない。
父のやり取りを見始めた。20分が過ぎ父に疲れが出始めたが魚も少し寄って来たようです。ついに見えて来た白く大きいサケです。マレーさんが大きいタモを素早く取り出しキングサーモンと船上に引き上げた。父は見るなり「マスノスケ」と叫んで嬉しそうだった。その後私の番になり白い普通のサケを1匹釣りました。お昼も過ぎたのでポートに戻り計量すると25kgでした。この日マレーさんはサポートに徹して釣りは一切しなかった。