• イヌワシの保護活動とワシ羽矢

    ビックフオーレスト大林照夫氏       

    江別市大麻でカフェ「ビックフォーレスト」オーナーの大林氏と知り合いました。大林氏は札幌市役所勤務時代から環境保全に配意し市内の河川に失われた蛍再生を手掛けて餌のカワニナを自分の手で育てていました。また、石狩川イトウの会 事務局長としても活躍されていました。

    大林様は温厚誠実で、諸外国に及ぶ広い交友関係と博識、卓越した判断力を有した方です。町長を辞職した私が最初に訪れたのはモンゴル国ウランバートルです。大林様と同行いたしました。

    大林様の友人のモンゴル国のサツラルト社長を紹介頂きました。翌日一緒に釣りに行くことになり早朝ウランバートルを出発して車で4時間程度走り河につきました。

    当時、開高健氏のモンゴル釣紀行イトウ釣り「奇跡の最終日」が話題を呼んでいた頃です。ㇾノック(マスの原種)を数匹釣り夕方近くそれは起こりました。河のカーブの緩い流れ上流に大きいルアーを投げ入れました。暫くすると流木に引っ掛かりました。地球を釣ったと諦めて竿を寝かせ糸を手で両手に持ち力まかせに引きました。糸はサケ釣り用の10号で太くとても切れません軍手をはめ直し両手で繰り返しルアーが外れるか針が伸びるかでした。

    数分後それが動きだしたのです。

    最初は太い流木が引いた力で流れ出したと思いました。その内に猛烈な力でぐんぐん河底が動き始めました。私は驚いて竿を持ち直し、立てましたが川に引き込まれ始めました。イトウが尾だけ水の中で巨大な魚体の大半は空中に舞っていました。エラ洗いです。

    その姿を見た途端に腰が抜けました。私が負けたのです。もう一度エラ洗いの後に弛んだ糸が外れ怪魚は水底に消えました。大林氏は様子に気付いて離れた場所から見ていたのです。

    後日釣り仲間が集まると私は必ずその話をします。大林氏はデカかった、その場所はカーブの深みで私も狙っていた場所だと言ってくれました。今なら1m半、10年後には2メートル、50年後はクジラに成っているかもと皆で笑った。得難い最高の証人です。